自然保護区のはじまり

 この物語は、自然と共に生きていくということが、どんなきっかけではじまるかという一つの出会いのお話です。みなさんにもたくさんの自然と出会うきっかけがあるでしょう。その物語りを聞かせてくださいね。

 

関心をもつ

 

 なんでもそうですが、特に人間は相手に関心をもつことが大切です。ともだちに関心をもつ、家族に関心をもつ、生きものに関心をもつ、出来事に関心をもつ、自然との共生は、「関心をもつ」ところから始まります。

 関心が興味を呼び、意欲につながる。これは、しぜん基金のスタッフの物語りです。


思いを伝える

 

 願い事は、強く願えば願うほど、口にすることが大切です。つまり、強く願うと行動につながるということです。有名な環境活動家のグレタ・トゥーンベリさんは、15才の時に「気候のための学校ストライキ」をはじめました。自分で科学的な根拠を調べて、地球を守るために

気候変動の危機に立ち向かうため行動を起こすことを、責任ある大人に訴えたのです。

その訴えに賛同する世界中のたくさんの若者が、世界を変える行動をはじめています。もちろん、訴えるだけではありません。自分自身も日常生活で、肉を食べないとか、飛行機に乗らないとか、二酸化炭素をあまり出さない新しい生活をはじめたのです。

 

どこかに「生きものが安心して暮らせる」いいところはないかなぁ~と、あちらこちらで話していると、協力する人と出会う瞬間がきます。


行動する

 

 こんな場所があるよ!ときいて、すぐに下見にいきました。それが、野外活動センターです。30年以上も放置されていた田んぼのあとを、この数年前から、少しずつ自然観察がしやすいビヨトープにしたり、生きものとふれ合えう場所(当時は馬をかりて乗馬をしたり、ヤギと一緒に遊んだりしていました)を作ったりしながら、少しずつ整備していましたが、その奥には手つかずの荒廃地が拡がっていたのです。


よく考える

 

 行動する時は、よく考えることが大切です。そのためには「いいとこメガネ」をかけて、できるだけたくさんの良いところをみつけます。これは、友だちにも一緒です。自然と共に生きていくときも同じことです。そして、見つけた良いところをいかす方法をよく考えます。

この場所は、水がとてもキレイなことがわかりました。なぜならそれ以上のところに人は住んでいなかったからです。そして谷が深く、他の田んぼや人の住んでいるところから離れていたために、生きものが行き来していませんでした。例えば、今ではあちこちにみられる「外来生物」(もともと日本に住んでいなかった生きもの)がいません。アメリカザリガニやウシガエル、ジャンボタニシのような生きものです。

 


大切にすることをきめる

 

 行動するとき、もう一つ大事なことがあります。よく考えて「何が大切か」を決めることです。「生きものが自分で住みたいと思う場所をつくる」というのは、自然保護区の中心になる考えです。動物園は、外国や色んなところから生き物を集めて展示をします。それは、たくさんの人に観てもらうための場所だからです。そのためには遠くから集められた生きものが、出来るだけ居心地がよいように工夫をします。

 でも、自然保護区は少し違います。生きものを連れてくるのではなく、自分で集まってくる場所をつくるのです。40年前は、おそらくたくさんの生きものが住んでいたはずです。荒れ果てた場所に住みにくいのは、人間も生きものも同じです。生きものが「ここは暮らしやすいなぁ」と思って集まる場所をつくるためには、努力と工夫が必要になります。「生きていくために必要な、水を溜めよう。」子どもとおとなが協力してバケツリレーで畔を作って水が溜まるようにしました。


エビデンスを大切にする

 

 少し難しい言葉ですが、証拠や根拠という意味です。自然保護区は、しぜん基金と協力しながら専門家の協力をいただいて自然再生に取り組んでいます。自然環境の状態を科学的に理解して保全に取り組むようにしています。それは、自然環境教育の拠点として、子どもたちが野外活動センターで学ぶときに役に立つと考えているからです。

 実際に、この3年間で生きものの種類が2.5倍に増えています。野鳥の調査でもフクロウなどの食物連鎖の上位にいる生きものも観察されています。希少種の生きものも見つかっています。

 自然再生によって、変化が起こっているというのは、日常生活ではあまり感じることが出来ません。だから徐々に自然が壊れていることにも気づかないのです。私たちは科学的根拠を示しながら子どもたちにその変化を感じて欲しいと考えています。なぜか?それが自分自身の行動の変化につながるからです。グレタさんのように(^^)


これからも

 

 青少年野外活動センターでの自然再生は、はじまったばかりです。もっと生きものは増えて欲しい。そのために、住み心地の良い場所を広げます。外来生物がやってくるかもしれません。広がるのを防ぐためには、ときどきみんなで調べる必要があります。


なかまが必要です

 

 自然再生には、自然を大切に、自然と共に、生きようと願う仲間が必要です。その連帯が、「自然と共生する社会」の基盤をつくることになるでしょう。もう気候変動は遠いところの話ではなくなりました。毎年のように大きな災害に見舞われ、サンマは食卓から消え、バッタが暴れまわる世界をこれから生きていくきみたちには、どんな力が必要とされるのでしょうか、責任ある大人は何をしなくてはいけないのでしょうか。青少年野外活動センターでは、自然環境教育を通し、自分の「行動が変わる」体験学習の機会をこれからも提供していきます。

 

ぜひ、参加してみてください。

毎月定期的に、スウェーデンの自然環境教育を実施中!

森のムッレ教室(幼児向け)、森の冒険教室(小学生向け)

イラスト:一般社団法人 自然再生と自然保護区のための基金 中川亜希子さん

文責:特定非営利活動法人 奈良地域の学び推進機構 三宅基之